■施工内容:シート防水
■築年数:20年
■施工期間:4日間
今回施工したのは、賃貸マンションの屋上になります。
「今すぐ雨漏り!」という状態ではありませんでしたが、築年数を考慮して、外壁塗装工事と併せて防水工事も実施することとなりました。
外壁塗装工事の様子は以下からご覧いただけます。
合成高分子ルーフィング(塩ビシート防水)+塗膜防水の立ち上がり処理で新たに防水層を作る工事を行います。
屋上は建物の“傘”のような存在。
そのため、劣化を放置すると次のリスクが発生します。
✅屋上からの雨水浸入
✅最上階の天井からの雨漏り
✅建物内部の鉄筋腐食
✅劣化による修繕費の高騰
つまり屋上防水は、建物を長く守り、資産価値を維持するためになくてはならない工事なんです!

まず最初に行うのは「洗浄作業」です。
屋上には長年の土埃、カビ・藻などが大量に付着しています。
これらが残ったままだと 防水材が密着せず、剥がれの原因 になってしまうため、
高圧洗浄機でしっかり洗い流します。
既存の汚れをどれだけ落とせるかでその後の工程の仕上がりが変わるほど重要です。
屋上防水工事では、平場(床面)だけでなく、立ち上がり部分の補修がとても重要 になります。
立ち上がりとは、屋上の外周にある低い壁の部分のことです。

最初に行うのは、ポリマーセメントペーストの塗布 です。
セメントに樹脂(ポリマー)を混ぜたもので、
✅密着力が非常に強い
✅ひび割れ部の補強に最適
✅下地を固く・滑らかに整える
という特性があります。
立ち上がり部分は経年で表面が弱くなります。
そのまま防水材を重ねても密着せず、剥がれや膨れの原因になります。
そのため、ポリマーセメントペーストで 下地を再構築し、強度と平滑さを取り戻す 必要があるのです。

立ち上がり補強の次は、打ち継ぎ目地(コンクリートの継ぎ目)の補修 です。
屋上の立ち上がり壁は、一度に全部を打設するのではなく、区切りながら施工するため、必ず「継ぎ目」ができます。
この継ぎ目はひび割れが起きやすく、雨水が侵入しやすい部分です。
継ぎ目を放置すると、
✅雨水が内部へ浸入
✅防水層の膨れ
✅内部鉄筋の腐食
といった不具合につながるため、確実に塞いでおく必要があります。
下地補修が完了したら、次は 防水層を守る緩衝材の敷設 を行います。
この工程は、防水工事の耐久性を左右する非常に重要な作業です。
まず、補修した下地の表面に プライマー(接着剤の役割) を塗布します。

プライマーが乾燥したら、次に 下地緩衝材(かんしょうざい) を屋上全体に敷設します。
この緩衝材は防水の品質にとても重要な役割を果たしています。

① 下地のひび割れ・膨張収縮による防水層の破損を防ぐ
コンクリートやモルタルは、気温の変化で膨張・収縮を繰り返します。
その“動き”が直接防水シートに伝わると、破れや浮きの原因になります。
緩衝材を挟むことで、下地の動きを吸収し、防水層を長持ちさせることができます。
② 下地内部の湿気を逃がし、防水層の膨れを防止する
コンクリートは湿気を含んでいることが多く、そのままシートを貼ると
内部の水蒸気が行き場を失い「膨れ」「剥がれ」を引き起こすことがあります。
緩衝材を入れることで、湿気を外部へ逃がし、防水層のトラブルを事前に防ぐことができます。

下地緩衝材の敷設が完了したら、次に行うのが 固定用金具の取付 です。

この工程は、後に敷く「塩ビ防水シート」をしっかりと固定するための“骨組みづくり” のような役割を持っています。
ドレン廻りも丁寧に施工します。

次に、改修用ドレンの取り付けです。

ドレンとは、屋上に落ちた雨水を建物の外へ排水するための排水口のことです。
改修用ドレンとは、既存のドレンの上から差し込んで使う 専用の二重排水構造 の金物です。
屋上防水では非常に重要なアイテムで、長年の使用で傷んだドレンを根本的に改善できます。
下地補修、緩衝材敷設、金具による押さえが整ったら、いよいよ 塩ビシート を屋上全体に敷いていくメイン工程に入ります。
塩ビシートは、マンションやビルなどの大規模建物で最も採用される防水工法のひとつで、耐久性・耐候性・美観に優れた非常に信頼性の高い防水材です。

次に、専用の溶着機で継ぎ目を溶かして一体化させます。

シート同士の重なり部分を 熱風溶着機 で加熱し、シート同士を溶かしながら圧着することで、継ぎ目が1枚のシートのように一体化します。
まずは下地との密着を高めるために プライマーを塗布 します。

プライマーは接着剤のような役割を果たします。
立ち上がり部分には、平場(屋上床)から折り返してくる塩ビシート端部が存在します。
そのため、この部分だけ 塩ビ専用のプライマー を塗布します。

立ち上がり部は、壁との境目・出隅・入隅・配管周りなど、細かな隙間が多い場所です。
これらの“取り合い部”に コーキング材 を充填していきます。

次に、端部処理としてメッシュ貼りを行います。

補強布を貼った上から、ウレタン防水材を2回塗り重ねて 強固な防水層を作ります。

ウレタン防水は液体なので、以下の特徴があります。
✅角や入隅、凹凸の多い場所にしっかり密着
✅継ぎ目のない一体型の防水膜ができる
✅柔軟性があり建物の動きに追従
立ち上がりのような複雑な形状には、シート防水よりもウレタン防水の方が適しているため、平場シート+立上りウレタンの“ハイブリッド構成”が最適です。

塩ビシート防水(平場)やウレタン防水(立上り)の施工が完了したら、最後に行うのが トップコート塗布 です。トップコートは“ただの仕上げ塗装”ではなく、防水層の耐久性を保つために欠かせない保護膜 です。
平場、立上り部にトップコートを均一に塗布します。


トップコートが乾燥すると、屋上全体が明るくパリッとした印象になります。
紫外線に強いコーティングが形成され、防水材をしっかり守る“保護膜”が完成。


すべての工程が終わり、今回の賃貸マンション屋上防水工事が無事完了。
屋上全体が生まれ変わり、長期間安心できる防水性能を確保しました。