2024.1.18
近年、一気に外壁塗装でのシェアを伸ばしたラジカル制御型塗料。価格と耐久性のバランスが良く、人気の塗料です。
この記事では、ラジカル制御型塗料の特徴、他の塗料との違いについてご説明させていただきます。
まず、ラジカル制御のラジカルについてご説明します。ラジカルを理解するには、塗料の中に何が含まれているのかを知ることで、紐解けるかと思います。まずは塗料に含まれている成分から見ていきます。
塗料には主に3つの成分が含まれています。
合成樹脂=アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素など塗料の主成分
顔料=塗料の色を付ける成分です
希釈剤=水、もしくはシンナー
ラジカルとは、この中の顔料から発生する因子のことです。
では、ラジカルは何が原因で発生し、塗膜にどういった影響を与えるのかをご説明します。
塗料は、塗装することで表面に樹脂の膜ができます。
その下に色粉の役割を担う顔料が並んでいます。
下の図のようなイメージです。
この顔料の中に含まれているのが酸化チタンといわれる白の色粉です。
この白い色粉に赤や黄色、黒などを調色して、皆さんのご希望の色に仕上げています。
この白の酸化チタンは、太陽光の紫外線に当たると、ラジカルという因子を発生させます。
発生したラジカルは、樹脂の膜を攻撃していきます。
このことをラジカル現象といいます。
【ラジカル現象】
このラジカル因子の攻撃により、樹脂の膜が破壊され、隙間から顔料が出てきてしまいます。
これによって、まるで表面が粉を吹いたようなチョーキング現象が現れます。
よくチョーキング現象が起こると塗り替え時期だといわれていますが、ラジカルを発生させやすくするとチョーキングが起こりやすくなります。
日当たりの良い場所は、紫外線によってラジカルがたくさん発生し、樹脂を攻撃し、顔料が出てきてチョーキングが起きる、といった仕組みになっています。
逆に、日当たりの悪い場所には紫外線が当たりづらいので、ラジカルの発生が少なくなり、チョーキングが起こりづらいのです。
そこで開発されたのが、近年大人気のラジカル制御型塗料です。
その名の通り、ラジカルの発生を制御する塗料です。
では、どのようにラジカルを制御するのかを見ていきます。
酸化チタンが紫外線に当たる前に、酸化チタンをまるごと包み込んでバリアします。
バリアすると紫外線が直接当たらないので、ラジカルを発生させる要因を少なくさせることができるのです。
例えば、一般的に耐久年数8~10年といわれているシリコン樹脂の塗料でも、ラジカルから攻撃されないので、シリコンでも1ランク上のフッ素に近い耐久性をもせることができます。
ラジカル制御型塗料でも、アクリル、シリコンなど樹脂によって耐用年数は変わります。
当然、アクリルのラジカル制御型塗料よりもシリコンのラジカル制御型塗料のほうが、耐久年数は長くなります。
現在の外壁塗装では、シリコンのラジカル制御型塗料が主流となっています。
ラジカル制御型塗料とは、塗料の劣化要因であるラジカルを制御し、耐候性を高めた塗料になります。シリコン樹脂のラジカル制御型塗料であれば、シリコンとほぼ同じ価格でありながら、1ランク上のフッ素に近い耐用年数が期待できます。
外壁塗装をご検討中の方には、参考になりましたら嬉しく思います。